ジェンダー・ギャップ革命
第7章 愛慾という桎梏
くちゅ……ちゅぱ。くちゅ……
次第に織葉は、頭上をこぼれる女の吐息に惑わされていく。
外では滅多に見られない、えれんの裸足。メレンゲの泡を壊すまいとでもする塩梅で、指の一本一本を愛撫して、それらの隙間も舌でくすぐる。母趾球から土踏まず、踵にかけてを啄んでいく。
「んっ……ふぅぅ……ァッ……ああ……」
えれんの感じやすい場所。感じやすい触れ方。
織葉は、それらを熟知している。意識を無にしていても彼女に生理的反応をもたらせるだろうが、あるべきものがこぼれ落ちていくばかりの胸中は、失くした愛津の面影が、余計に存在感を増す。
彼女を幸せにしたい。
どんなかたちで、織葉はそれを望んでいたのか。
彼女のような女が未来に希望をいだく社会か、単純に、彼女を手に入れたかったのか。
「私に背けばどうなるか、ちゃんと教えなかった私がいけないのよね」
えれんの指が、織葉のおとがいを持ち上げた。
ぞっとするほど冷たげな色が温和な目の奥に垣間見えるのは、彩度の鮮やかな照明のせいか。
どこぞの異国は洋館風の部屋には粗悪な鉄格子があって、えれんは織葉に手枷を嵌めると、そこに鎖を繋げて両手首を吊り上げた。
ビシュッ…………
鋭い音が風を切った。
首を動かすと、えれんが革鞭を握っていた。