ジェンダー・ギャップ革命
第7章 愛慾という桎梏
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えみるが愛津を担当して、一週間経った。その間、彼女の独房には二度、顔を出しただけだ。
片やえみるは、ありあの独房にはほぼ毎日、通っている。必要があっての訪問が多くを占めるが、このところ、雑談だけの時もある。
「愛津ちゃん、釈放されるかも知れない。そうなったら拷問ともお別れだー……」
「言っちゃ悪いけど、えみるんの心臓には毛が生えてない?卵子採取で病むケース、多いみたいだけど」
「私は先に病んでたからね。ありあちゃん、いっそ私と付き合ってくれないかなー……身体の関係だけで良いから」
「セフレみたいなことなら、してるじゃない。今度、えみるんがいたぶられてみる?」
「興味なくはないけど、就業時間に私の喘ぎ声が誰かに聞こえたらまずい」
そうしたやりとりをしている内に、次の持ち場へ向かう時刻が迫った。
以前までのえみるなら、自身の業務態度を猛省していただろう。だが、ありあは稀少な理解者だ。前例がない分、諸方の処理が難航しているらしいが、愛津が本当に釈放されれば、この友人の免罪も夢ではなくなる。それを素直に願えるほど、えみるの彼女への好感度は高い。
扉のノブを握った時、後方から声がかかった。