ジェンダー・ギャップ革命
第8章 報復の権利
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えれんが愛津を迎えに向かったあと、織葉は収容所から電話を受けた。その際、業務連絡に含まれていた今日午前中の公開処刑者リストに、聞き馴染んだ名前があった。
罪状は、処罰偽装。
ありあに、ある時期から生傷が増えなくなった。そればかりか回復に向かった彼女と、担当のえみるの間に不正が生じている可能性を疑った職員が、彼女らを張り込んだところ、思いがけない真相に結びついたという。
「英真ちゃん、しづやちゃん、ここ任せられる?」
「出かけるんですか」
「今の電話……えみるん、何かやらかしたんですか」
えみるの友人である二人に、織葉は愛津が収容された夜から今に至るまでを話した。
英真もしづやも、珍しいほど言葉少なだ。たまに相槌を打つ彼女らの表情だけが読みやすく、余計に織葉は胸が痛む。
えみる達に罪はない。原因は織葉だ。えみるに無理難題を押しつけて、彼女の好意と傷心を利用した。
織葉がノブを握った時、英真がすっくと腰を上げた。
苦渋を抑えた華やかな顔は、少し目を充血させているだけで、不可解な説得力がある。