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ジェンダー・ギャップ革命

第8章 報復の権利



 えみるに尋問していた看守が、その名の通り、拳よりひと回り大きい蜘蛛の形状の物体の持ち手に、鎖を繋げた。別の看守達が運んできた、ガーデンアーチを連想する鉄棒の上辺めがけて、彼女がその鎖を投げた。

 二体の蜘蛛に備わる威力を、えみるは知っている。力を加えるまでもなく、あれに乳房を噛ませるだけで、刃物を突き立てるのと同じだ。


「あの人、元S嬢のアリアちゃんじゃね?」

「男向け風俗店の閉鎖命令が出て、国が転職を支援した女の子達の中には公務員になった子もいると聞いていたが、やっぱりアリアちゃんほどの売れっ子だったら、ぞんざいな扱いは受けなかったんだな」

「しかし、結果が処刑じゃなぁ。あの看守も何かしたのか?」

「お前、動画回しておけよ。あのアリアちゃんだぞ?マゾやってるなんてレアだし、あの身体ヤベェ、抜ける」

「無料で全裸が見れるって、俺達ツイてるな」


「やめろ!!」


 自分でも驚くほどの声が、えみるの喉を突き抜けた。

 安全圏から、ありあにスマートフォンを向ける男達。

 彼らに弾かれるようにして、えみるは同僚達が自分を押さえつけるより早く、ありあの側に駆け込んだ。肉感的な凹凸が飾る身体を抱き締めて、友人の裸体を自身で覆う。

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