ジェンダー・ギャップ革命
第8章 報復の権利
「苫坂さん、離れなさい」
「撮ってるんですよ。しかも男。あの団体を先に切ったらどうですか」
「彼らは、処分する。貴女達が先。苫坂さん、脱ぎなさい」
「冤罪の被害を抑えたのに?」
結局、愛津は無罪だ。彼女に言い渡された罰は重く、もし実行していれば、収容所側の過失になってもいただろう。えみるが身代わりを買って出て、内輪で済んで良かったくらいだ。
「貴女の主張も間違っていない。でもここの職員として処罰の偽装は見逃せないし、どんなかたちで市民達の耳に入るか分からない。けじめは、大事なの。早く裸になりなさい」
「…………」
えみるは、上着のボタンを外していく。
柵を見渡すと、相変わらず刺激に飢えた老若男女の獣達の目が、内部のなりゆきを監視している。
身体の一部が捥げれば、やはり息絶えるだろうか。こんな醜態を晒したあとで、どのみち生きながらえる方が苦痛だ。
ブラジャーのホックを探っていたえみるの元に、月村が駆けつけてきた。
「待ちなさい、えみるちゃん!」
月村は、えみるの減刑を宣言した。
事情が変わった。ありあの処刑をえみるが執行するのを条件に、今回の件は赦免になる。
それだけ説明した彼女は、えみるに身なりを整えるよう指示して、例の器具を握らせた。