ジェンダー・ギャップ革命
第8章 報復の権利
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私達は惹かれ合っただけ。女が男を愛しただけで、何故、異常だと言われなければいけないの?
投獄された日、ありあが英真達に向けた主張を、えみるはもっともだと思う。
愛が罪になるとすれば、それが道徳に反する時に限る。
もとより、物事は何を以て、倫理的か否かに分別されるのか。性に関する問題に限らない。人の行動や思考も、何を基準に正否に分けることが出来る?
「ぎゃあ"あ"ァァ"ア"ッッ!!」
ガーデンアーチの真下の台にありあを上らせて、えみるは彼女の乳房を掴んで、人工の蜘蛛の脚に挟んだ。
手動で噛む力を調節出来るそれは、ネジでの固定が可能で、赤く張った乳房を突き出すありあに跨るえみるの側に、看守の一人が新たな用具を運んできた。
「男が社会の中心にのさばってきたのは、皇ありあのような女が、いつの時代にも彼らを持ち上げてきたから。そそのかされて、言いくるめられて、挙げ句、同情や好意を持つなんて、排除するしかないよね?」
「……そう、ですね」
「この女も、男達の言葉に随分と耳を傾けてきた。そんなに彼らが好きなら、彼女の性器は、炙ったペニスで可愛がってあげれば良いわ」
持ち手にシリコンの巻かれた模型は、グロテスクなイボが無数に付いた先端から大部分が、鉄製だ。看守がバーナーに火を点けて、ペニスの模型に熱を絡めた。
えみるは、彼女からそれを受け取る。
「苫坂さんも裁かれることをしたこと、忘れないで」
「…………」
友人の、女としての象徴を捥いで、性器を焼かなければ、えみるも彼女と同じ目に遭う。
月村を始め、二人を囲う職員達が、無言でえみるにそう示唆している。