ジェンダー・ギャップ革命
第8章 報復の権利
「これ、から、愛されないと……えみるん、がいなくなったら、織葉さんだって気にする……」
織葉に罪の意識を持たせないためにも、えみるは今日のことを割り切るべきだ。愛津から、えみるが織葉の想いを奪えるよう応援している。そのために生きろ。
驚くほど明瞭に、ありあがえみるにそう諭した。
えみるは、指やディルドなら何度沈めたか分からない彼女の潤みに、張り型を近づけた。
ジュ……ずぶ……ジュゥゥゥゥ…………
「…………っ」
地獄から湧き出たような呻き声も、漏れなかった。
もの凄まじい痙攣がありあを襲って、彼女はこと切れていた。
鎖を握っていた看守が、力の限りと言わんばかりにそれを引っ張りきると、二つの真っ赤な肉塊が胴体を離れた。えみるは、動かなくなったその割れ目から、ペニスもどきを引き抜く。香ばしく匂った肉片が、鉄の張り型にこびりついていた。
「人を……私……友達、を……」
何がとどめになったかは、分からない。少なくともえみるが彼女を殺した事実は、紛れもない。
職員達が処理作業に入ると、えみるは月村の付き添いで、本館へ向かった。昼休みを早めにとるか、早退か。彼女がえみるに問うた時、正門から女が走り込んできた。
「えみるちゃん!!」
聞き心地の好い声の主は、織葉だ。
すぐに彼女と分からなかったのは、えみるがそれだけ視界を涙で歪めていたのと、ありあを亡くしたショックが途方もないからだ。