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ジェンダー・ギャップ革命

第8章 報復の権利


* * * * * *

 大晦日、今年も実家に電話を一本入れた愛津は、夕方、えみるをタクシーに乗せて訪ねてきたえれんに同乗するよう促されて、彼女の自宅に招かれた。

 えれんや織葉の暮らす邸宅は、家政婦らが大掃除の総仕上げに往来している。慇懃な女達に挨拶しながら、愛津達は居間に通された。

 年越し蕎麦が仕上がるまでの口汚しにと、家政婦の一人が茶菓子を運んできた。えれんが、買い出しへ出ているという織葉を迎えに出たあとだ。

 主人の留守中、口まめになった家政婦は、愛津達に話し始めた。
 ここ数日、帰宅してもえれんは思い悩んだ様子を見せていたという。落ち込みきった役員らがいる。きっと年末年始も正月気分に切り替わらないだろう彼女らを励ましたいが、原因に自分が絡んでいて、誘いにくい。…………


「神倉様は、愛津様とえみる様を本当にご心配になっていました。えみる様は、……ご不幸でございます?」

「えっと、仲の良かった友達を……見送って……」

「それで黒いお召し物を。承知いたしました。おめでたい言葉は、控えさせていただきます。でも、一年頑張ってこられたご自分へのご褒美とお考えになって、今夜と明日くらいはここをご自分のおうちのつもりでお寛ぎ下さい」


 流麗な手際で緑茶を注いだ家政婦は、一礼して奥へ戻った。

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