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ジェンダー・ギャップ革命

第9章 安息を望むには苦しみ過ぎた


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 織葉は、買い物にえみるを誘ったえれんに付いて、商店街を訪ねていた。

 二ヶ月近く動画チャンネルを放置している役員は、新春の雰囲気が薄れてから明るい色の洋服にも徐々に袖を通すようになったものの、以前ほどの活気がない。彼女の贔屓の店に入っても、えれんと店員があれこれ勧めて、やっと見向きするくらいだ。


「近々、泰子達と飲みに行くの。織葉、お洋服どんなものが良いかしら」

「一昨日も行ったのに、改まることある?」

「和奈も来て、仕事の話を一切しない、飲み会。特別でしょ」


 さっきの店とは一変して、落ち着いた色味が面積を占める店内で、織葉はえれんの好みも考慮しながら、洋服を選び取っていく。店員の一人が加わってきて、浮かれた感じのワンピースを勧めてきたが、連日の底冷えがまだ続くと思うと、春物を候補に入れる気は起きない。


「赤紫に薄ピンクの蝶柄かぁ……お義母様には、派手かな。こういう緑のロングスカートも、オーバースカートのフリルが可愛くて、起毛のトップスを合わせれば華やかになりそう。目立つかな」

「たまには、織葉の好みを着てみたいの。この中から決めるわ」


 そう言って、えれんが店員に試着室へ案内させた。

 遠目に見るえれんは、着替えてはカーテンを開けて店員と言葉を交わしながら、今日やっと楽しめてきたように見える。えみるに気遣っていたさっきまでに比べて、ずっと自然だ。

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