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ジェンダー・ギャップ革命

第9章 安息を望むには苦しみ過ぎた


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 神倉えれんが、実の娘に性的関係を強要していた。そして彼女は、女性優位の社会作りを理想としながら、かつて不特定多数の男達から金銭を得て、彼らの欲望を満たしていた。

 それらのニュースが世間を注目させたのは、二月に入ってからのことだ。

 当初は、噂好きの暇人らによる出まかせとして流されていた。もとよりえれんと男達との関係は、彼女に心酔している支持者達ほど知っている。だが、彼女の過去が金になると踏んだ報道関係者達は、週刊誌、新聞、テレビと、あらゆる手段で彼女を見せ物にして、その内容もより過激に、具体的に、真実味を帯びせていった。


 愛津は、この報道に驚かなかった。織葉とえれんの関係は、それまでにも勘ぐるところはあった。それに、彼女と泰子の距離感も、血縁があるにしては淡白だった。
 えれんにも泰子にも彼女が似なかったのは、父親が関係しているのだろう。多く見かける記事によると、えれんは結婚直前まで、大越以外の男達とも関係があった。彼らの中に彼女の血縁者がいれば、尚更、えれんの偽装が通りやすかったのも合点がいく。

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