ジェンダー・ギャップ革命
第10章 正義という罪悪
「私が失脚すれば、「清愛の輪」は存続が危ない。肉親と交った人間は、不吉。織葉が私のあとを継いでも、社会の災いになるだろう……そんな風に言い触らしているライターもいる。あの子が私の慰みものだったとか、行政から一般企業に移ったとしても、夜の方面にしか脳がない、母親と同じで誰かの持ち物になるんだろうって、愛津ちゃんだって、そういう記事やニュースは許せないでしょう?」
「勝手に言わせておけば良いです。公平な目で神倉さん達を見ている記者の人達も、います」
「地味で真面目な情報より、人は刺激を求めたがる。それでも、事実は小説より奇なり。私の愛は、まさにそれ。もっと暗くて、寂しくて、深い。あの子は私を愛していない。私の理念を愛してくれたの」
「分かっています、皆さんにも伝えるべきです。私や英真ちゃん、しづやちゃんやえみるんだって、証人になります」
「信じる信じないの問題じゃないわ!!」
ひゃぁぁああっ…………
絹を裂くような悲鳴が上がった。
えれんの振り下ろした切っ先の真下にいた女の脚と脚の間から、透明な液体が広がった。蒼白になって失禁した女を見下す彼女の目は、まるで汚物でも見ている風だ。