ジェンダー・ギャップ革命
第2章 唾を吐く貧民
まるで宝石を与えられた子供の目で写真を撮って、蓋を開けてまたはしゃぐえみるに相槌を打ちながら、愛津も手を合わせて箸をとる。
斜め向かいでは、さっきの翳りが愛津の目の錯覚ででもあったように、普段通りのえれんが織葉と小鉢の中身を賞翫していた。
「アボカドと湯葉の組み合わせなんて、珍しいわ。この麩、花の形で可愛い。昆布に……イクラでしょう、この部分は何か分かる?……真智もやるわね。昔から素材はこだわっていたけれど、見た目、前はこんなに凝っていたかな」
「えみるちゃんみたいなお客様のためじゃないかな。あんな風にSNSに残るなら、手の込め甲斐あるだろうし……本当に可愛い。お義母様とはしょっちゅう来たよね。この中身は、芋?違う、ゆり根っぽい」
「和食って、お品書きだけじゃ分かりにくいことあるわよね。それも含めて楽しいわ」
「あ、お義母様、ついてる」
「え?」
「失礼」
「……?!」
えみるの逆隣にいたありあが固まった。
愛津が彼女の視線を追うと、なごやかに会話していた母娘が、公共の面前で睦まやかに距離を縮める恋人同士も顔負けのシーンを繰り広げていた。とは言え、織葉がえれんの指に口づけただけ。