ジェンダー・ギャップ革命
第3章 道理に適った少子化対策
かつてパートナーと呼んだ男と彼の父親に、もなは新薬を投与した。
ゴミだ。否、塵芥の方がまだ価値がある。
今日まで随分、ありあ達が可愛がったという。男達の人体改造、並びに人為出産の研究リーダーとして、もなが基盤を固めるより以前、例の収容所が建設されてからだから、かれこれ一年と三ヶ月という計算だ。暴行痕が、その凄惨さを物語っていた。
「何を打った……頼む!助けてくれ!もなちゃん、俺達、あんなに想い合ったじゃないか……っ」
「久城さん、誤解だよ、わしは久城さんの個人を冒涜したかも知れないが、それだけ孫が見たかったんだ……久城さんが出て行って、わしらは本当に寂しかった……」
青黒い、使い古した雑巾同然二体の男。
手術台に拘束されて、彼らは喚き散らしていた。施術前のマウスによく見られる傾向だ。
もなの優秀な部下達は、それが上司の元身内でも、命乞いにとりあわない。聞き飽きたと言わんばかりの無表情を貼りつけている。
「おじいちゃん、ズボン、脱がせるね。少し冷えるけど、お前も、変な気を起こしたら麻酔出来ないからね」
やはりマウスを扱う調子で、部下達が口上通りに作業を進める。かつてもなが性的興奮を根拠に脚と脚の間に咥え入れた肉棒に、腕に打ったのとは別の注射を、彼女達が施した。
かくて二本の性器に麻酔薬が注入されると、別の研究員が、パッドにメスを並べて近付いてきた。