ジェンダー・ギャップ革命
第3章 道理に適った少子化対策
「貴方は私を助けなかった。私だって貴方との子供が欲しかった。だから検査をお願いした時、貴方は私に言ったよね。子供を産めたら仕事を休んで、育児に専念しろ、出来ないなら、やっぱり私に産む気がなかったことになるね……と。お義父さん達が親戚の前で私の欠陥をでっち上げて、お酒の肴にして笑っていた時、貴方も一緒に笑ってたよね」
「そんなに気にしてるなんて、思いもしなくて……」
身体中の血液が、逆流していくようだ。隣にいた研究員が、萎れたペニスにメスを振り下ろさなければ、もなは、きっとそれを彼の胸に突き刺していた。
「グォアッッ!!」
「ヒギィィィィイイ!!!」
下半身から流血して、この世のものならざる悲鳴を上げるマウス二体が、拘束具を砕かんばかりに暴れ出す。
鉄錆の匂いを放つ水溜まりから、研究員達が切断した肉棒を拾って、ゴミ袋に投げ入れた。
「貴方、お義父さん。おめでとうございます。念願のお子さんが出来ますよ。貴方達が産むんです。私は女として子供を産めませんでしたけれど、科学者として、少子化の危機を止めました。今秋、見込める出生率は、令和に入って過去最高。男性器はなくなりましたが、お二人にはこれから、私の開発した人工子宮を埋め込みます」