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ジェンダー・ギャップ革命

第3章 道理に適った少子化対策








 翌週、えみるは税務署から救援申請を受けて、住民税の徴収を手伝っていた。


 従来なら未納者には書面で催促して、成果が得られなければ私財を差し押さえる流れだ。
 ところが今は、女が権利を重んじられねばならない時代だ。対象者が女の場合、差し押さえは最悪の最終手段に回すよう、えれんが制度を見直した。


 四軒目で呼び鈴に応じてきた女は、えみるから見て、圧倒的に好ましかった。
 家庭を持つ女に現れがちな、従容自若な包容力もさることながら、えみるが税務署職員の代理と名乗っても、前の三人と違って一瞬でも煩わしさを顔に出さず、労う言葉をかけてきた。思慮深い目、それを囲う瞼はきちんと化粧してあって、その日の予定に左右されない女の美意識を裏付けている。ラッセルレースが襟ぐりを縁取るリブのカットソーはやや小さめだ。それが女の豊満な乳房を強調していた。

 女が席を外した間に、えみるはえれんにLINEを送った。


 三世帯、全額納税させました。引き続き仕事はしっかりやるので、四人目と遊んで帰って構いませんか。

 
 果たして、返ってきたのは快諾だ。

 ここには女の配偶者を名乗る男もいて、上手く運べば妊夫か労働力も持ち帰れる。

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