ジェンダー・ギャップ革命
第3章 道理に適った少子化対策
階段を降りてくる足音が近付いてきて、男が居間に現れた。よれたTシャツと寝巻きと思しきショートパンツという格好の木之内氏は、通り過ぎる際、えみるに一言挨拶して、冷蔵庫からペットボトルを取り出した。
男が喉を鳴らす音には構わず、えみるは続ける。
「諦めないで頑張りましょう、木之内さん。貴女は女性ですから、よろしければ私達で、ご希望に合った求人をピックアップいたします。3Kではありません。延滞料は、賞与でお支払いになれるはずです」
「有り難うございます!」
「ただし、木之内さんだけ特別扱いは出来ません。条件として、私と一緒にDVDを観ていただけませんか」
刹那、不思議そうな顔を見せた木之内が、二つ返事で頷いた。