ジェンダー・ギャップ革命
第3章 道理に適った少子化対策
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えみるからえれんに連絡が入って二時間後、また一人、男が収容所に送られたという報告が入った。
滞納した住民税を納められる見込みがなかったらしい。女の方は、えみるを通して職安に案内されたようだが、彼女の配偶者である男は、ありあ達が引き受けた時、どういうわけか泣き腫らしていたという。
本部では、先ほどアポもとらず押しかけてきた重光矢太郎(しげみつやたろう)と、彼のかつての秘書のえれんが、意見の火花を散らせていた。
「貴様らは外道だ。本来、我々は国民を守ることを最優先としている。それを貴様らは、気に入らない人間に濡れ衣を着せては投獄して、わけの分からん実験の被害に遭わせている。公安は何をしている、警察は!貴様らのしていることは、神への叛逆だ、自然破壊だ。人類とは、男がいて女がいる。両者は助け合うものだ、理解して愛し合う、男女が愛情によって産み育てる子宝は愛の結晶だ。しかし元年の大不況から、生活苦が国民達を襲って、結婚や出生率が低減した。そこで我々、当時の与党が尽力していたのに、貴様らはその政策を冒涜し、男の税率を引き上げて、まさに独裁社会を築こうとしている」