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ジェンダー・ギャップ革命

第3章 道理に適った少子化対策



「ラスト一個じゃあるまいし、まだ遠慮は早いわ」

「そう言えば……ですね」


 結局、愛津が取り上げたのは、パイン風味のラングドシャ。
 挟まれていたホワイトチョコレートが気に入ったようで、頰をゆるめて味わっている。

 ビスケットも、仕事の合間の脳にしみる。同じバターでも、発酵バターは独特だ。



「怖くなかった」


 ビスケットを飲み込んで、えれんは話を戻した。


「男が原因の女の死亡件数を踏まえれば、後ろめたくもない。浮気やDVで殺される、耐えられなくて命を絶った女性もいる。出産時の出血で、命を落とすこともある。強姦で一生消えない傷を負ったり、パートナーのハラスメントで心を病んだり、家同士の結婚から逃れるためにこの世を去ったり、未来を絶たれた女性を思えば、私達には彼女達の無念を晴らす権利があって、同じ悲しみを繰り返さないよう社会を見直す責任もある。私は愛津ちゃん達、母娘も心配してるの。お父さんのために苦しんで、貴女達が壊れないか。それに私の古い友人も、女としての役目に追いつめられて、心を壊した」…………


 そして、その友人は、もうえれんの会えないところへ旅立ってしまった。

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