ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
束の間の英真の回想に、大した意味はない。
「清愛の輪」本部の外では、運動家達がLGBTQの権利を主張している。昨今は男の権利を訴える勢いの方が増しているが、地元のLGBTQ運動団体として、古参の彼らは有名だ。
支援している若松泰子(わかまつやすこ)が、えれんと織葉を訪ねていた。
「田舎は偏見が根深いわ。良人の実家が集落でしょう、独特なの。最近も里帰りした時、ご近所の息子さんが彼氏を連れて帰られていて、そうしたらそこのおばあさん達、息子さんがお友達を連れてきたのだと仰るばかりだったのよ。息子さんは傷付いたでしょう。恋人として、彼を紹介したはずなのに」
「古い人間は、そういうものよ。次は、貴女の支援している人達を、田舎に招待して差し上げれば。異性愛者が変わった目で見られる首都圏より、時代に遅れた地方で選択の自由を広めてもらった方が、私も助かる」
「名案だわ、えれん。ここいらは本当に暮らしやすくなった。貴女のお陰よ」
「副次的効果よ。私は性的少数者の味方じゃなくて、女性を尊重しているだけ」