ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
「皆で気を遣ってくれたんだ、英真。私達お似合いだから」
しづやの意図を理解しきるより先に、幻のように柔らかな何かが英真を捕らわれた。
腰に回ったしづやの腕、陽の光を存分に浴びて育った花を彷彿とする彼女の香り、彼女の口づけ。…………
初めてキスした関係のしづやに、英真はもっと親密な触れ合いを求めた。
サロンの女達が個人的な関係になるのはよくあることで、しづやも彼女らの複数名と、既に肉体関係があった。英真は彼女達を羨みながら、しづやの容姿や身体の線、指の形を盗み見ては、実際に味わう前であればこそ耽溺出来る処女のような快楽を、一方的に貪っていた。
唇や歯列、舌の裏側まで、唇を重ねて互いに吟味した二人は、また顔の見える距離に戻った。
あの日、令嬢達が淫らな匂いを連れて戻ってくるまで、英真はしづやと、欲望を除くどんな善意の入る隙もない快楽にありついた。二十二年の消化不良が埋められていくものと感じたが、晴れて恋人となった彼女とほぼ毎夜、愛し合っても、快楽における英真の想像力は涸れなかった。
ドライヤーを置いたしづやが、英真をクッションに座らせたまま、首輪を巻いた。南京錠の付いた首輪はバックル式で、彼女は英真の手首にも合皮のリストバンドを嵌めて、その金具を首に繋いだ。
英真達の前には、リビングが見渡せるほどの姿見がある。
バスタオルも外して乳首の先まで勃たせた女が、腕を開いてどこも隠せず、次は太ももまで押し開かれようとしているのを眺めながら、英真はまた息が上がるのを自覚する。