ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
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二人の蜜月が輝きを失くす気がしない。引っ越してから素顔を見せるようになった佐々木も、二人にとって良い刺激だ。
しかも英真達の探究心は、自宅で完結しなかった。
英真は変わらず講師を続けて、令嬢達に人気のしづやも、淫らなサロンに不可欠だ。
尚、英真はマゾヒストではない。
しづやの想像力に傾倒して羽目を外すことはあれど、英真にも女を縛ったり、鞭打ったりして、酩酊する性分が備わっている。その加虐の対象に、佐々木を含むこともある。
日付を数えるのも忘れるほどの日々にいて、英真は恩も忘れなかった。それでなくても学生時分は最も仲の良かった玲亜と、最近は、しづやも一緒に会っている。
「幸せそうで結構。渡島さんも、態度変わったね。昔はあたしに塩対応だった君が、英真を紹介してから懐いてくれて」
「誤解です。百目鬼先輩はお友達が多くて、声かけにくかったんですから」
「可愛い子が入ってくる度、あんなに気軽に誘ってたのに?あたしには遠慮したんだ?」
もっとも、この場合の「誘う」とは、お茶や食事を指している。
当時、玲亜は他校のサークルに通っていた。彼女がしづやと知り合ったのは、そこだ。
ウルフカットの明るい髪に、目元を強調した化粧。締まった筋肉質な長身…──玲亜も格好良いと評判だったが、他校で同じく女子好きのするタイプだった後輩と、彼女が親しくなるには時間がかかった。しづやが積極的に近付くのが英真のようなタイプだったというのも、大きかったのだろう。