ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
「本当に良かった。結婚したのが無駄にならなくて、お母さん達も安心してくれて、私達も助かった」
首も座ってまもないような赤子を抱いたひろかの顔は、慈悲と安堵に満ちていた。その言葉つきは、いっそ男との生活など副次的な幸福でしかないのでは、と勘繰らせるほどの気配があった。
愛津はひろかの娘に目を遣りながら、諧謔した。
「ひろってば、娘ちゃんに逢うために結婚したみたいな言い方。パートナーさんが嫉妬されるよ?」
「私なんかにしないよ、あの人は。忙しいんだから」
あの時、自己主張の控えめなひろからしいあしらい方だと思った。
だが後日、愛津は別の友人から、飯原家にまつわる噂を聞いた。