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ジェンダー・ギャップ革命

第4章 享楽と堕落の恋人達








 別日、英真がえれんに食い下がっていた。珍しいほど熱心に。


 毎朝、支度に何時間かけているのか。
 華の面では織葉も規格外だが、英真の容姿や存在感は、一般社会の中では目立つ。本人に自覚があるかはともかく、彼女の主張の強い美は、Angelic PrettyやPINK HOUSE、Emily Temple Cuteなどの洋服によって、よりきらびやかさを増す。英真のくっきりした目元の二重はむくみ知らずで、つややかな濃い茶色の巻き髪は、薄暮までカーブを維持している。その肌は、灼熱の太陽がこの世にあるのを知らないように透き通り、血色だけがほのかな紅色を浮かべている。

 その、洋服と宝石としづやにしか関心のないような英真が、例の新制度に抗議していた。


「離婚件数や家庭内のトラブルを鑑みれば、女性のための審査だと、理解はしています。婚姻届が受理されず、それでも女性側が望んでいれば、例外は認めるべきじゃないですか」

「それだと埒が明かないわ。今後、強要されて結婚を希望する女性が出てくるかも」

「じゃあっ、玲亜……私達の友達だけ認めて下さい。内密に」


 普段はえみると同じくらい異性愛を蔑視している英真が、こうも引き下がらないのには、訳がある。

 最近、英真としづやの友人が、男と婚約したらしい。前科や借財を含め瑕瑾なく良好な関係を築いていた彼女らは、だのに婚姻届が受理されなかった。

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