ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
その斎藤と、織葉は二度と会うはずなかった。
友人のために、先日から英真としづやがえれんにかけ合っている件は、まだ解決していない。そこで彼女達が次にとった行動は、えれんを男に会わせるというものだった。
「ごめんなさい、神倉さん!出前、勝手に取っちゃいました」
「例の居酒屋?貴女達の気持ちは分かるけど、私にもどうしようも出来ないことがあって……」
「お話だけでも聞いて下さい。斎藤さんは、料理も美味しいんですよ。男のくせに礼儀正しくて、謙虚ですし、審査には人柄も重要なんですよね?」
この数日間、織葉は彼女達の話を通して確信した。彼女らの恩人、百目鬼玲亜という女も、斎藤の店の常連だった。やはり彼の店を気に入って、通う内に、オーナーと客の垣根を越えたのだ。
「お義母様、……」
織葉はえれんに声をかけた。席を外したい。その旨を伝えると、彼女は快く承諾した。
織葉が事務所の玄関口へ向かうと、男の景気の良い声が、正面の扉を突き抜けてきた。
「「宵々」です、失礼します!ご指定の時間より早くなってすみません、ご注文をお届けに参りました……!」
「あっ、斎藤さん!」
英真が織葉を追い抜いて、来訪者を小窓に透かした扉を開けた。