ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
いかにも富を誇示したツヤを浮かべた車の影に、四つの人影があった。
細身の男と中背の男、スーツの人物もおそらく男だ。そして、彼らの中の一人の拳をもろに食らって、腹を抱えて膝をついたのも、英真でなければ男と見紛っていただろう。一つに束ねた短い髪に、AnkRougeにしては珍しい皇子テイストのシャツ、合わせているのは姉妹ブランドのハーフパンツ──…うっかりすればこの状況でも見惚れてしまう恋人は、やはり女と見分けがつく。
「しづや!!」
英真が駆け寄ると、男達が青ざめた。
彼らの顔に見覚えはある。それは彼らも同じのようで、互いに意見を求めるように目配せすると、一人がしづやを引きずり上げた。
「英真様、我々から一人、お選び下さい。そうすればこの女の命は保証します。貴女様と結婚出来れば、我々は奴隷で本望です」
「私の口封じをしても、英真があんた達を訴訟するよ。英真は往国家のものじゃない。選ぶ権利が──…」
「選ばせてんだろ!!」
彼女の首に腕を回していた中背の男が、しづやの鎖骨に拳を突いた。叩きつけられてきた彼女の頭を、別の男が鷲掴みにする。
「ひぐぅっ」
英真はしづやに駆け寄って、夢中で男を引き剥がす。とっくに力が抜けていたような彼女を庇うようにして、その場に共倒れになった。