ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
「お嬢様。一般人相手では、婚姻届で認められません」
「私達は、神倉さんの直属よ」
「あの独裁者の時代は、じきに終わります。いずれお父様が権威を取り戻されます」
「ごめん、英真……追い返すはず、だったんだけど、……」
「待ってて、今、こいつら通報して、……」
英真はiPhoneを操作する。
暗がりに目を凝らせば分かる。英真が戻るよりかなり前から、この悶着は起きていた。生まれ育ちだけはしっかりしているはずの男三人が、一人の恋仇に寄ってたかって、不当な腕力に訴えていた。
しづやが謝る必要はない。
英真が身辺整理を怠っていたために、彼女に皺寄せが及んだのだ。
「くそっ……こうなったら……ぐぁああああああああっ!!」
「お嬢様、しづや様!……けっ、警察の方!こっちです」
悪い方向に吹っ切れた時の人間に見られがちな男の目が、声の聞こえた方へ向いた。
夜闇に慣れていた英真の視界をより鮮明に開かせたのは、鮮烈なヘッドライトの光だ。サイレンの音が英真を安堵させながら、パトカーが滑り込んできた。