テキストサイズ

胡蝶の夢~私の最愛~⑪【夢路・ゆめじ】

第8章 予期せぬ災難

 一体、自分はどうしたら良いのだろうか。
 泣いている中に、泉水はいつしか眠りに落ちていった。
 夢の中で、泉水は白い花を見た。
 大輪の夕顔が闇の中でほの白い花をひそやかに浮かび上がらせている。
 夕方、ひっそりと花開く儚げな風情の花。
 妖しさを感じさせながらも、淋しげな雰囲気の漂う花だ。花の向こうで、また誰かが呼んでいた。
 あなたは誰、誰なの?
 闇の向こうから、私を呼び求めるのは誰?
 眠る泉水の白い頬をつうっと涙の雫がひと粒転がり落ちた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ