胡蝶の夢~私の最愛~⑪【夢路・ゆめじ】
第10章 幻
しかし、他人の空似と笑い飛ばすには、この僧は祐次郎にあまりにも似すぎていた。まるで、十四歳の祐次郎が亡くなったりせず、そのままどこかでつつがなく成人していて、ひょっこりと姿を現したようだ。
そう思った刹那、くらりと視界が揺れた。泉水は軽い眩暈(めまい)を憶え、よろめいた。美しい、不思議な僧がゆっくりと近づいてくる。
―祐次郎さま、やはり、生きていらっしゃったのですね?
思わず問いかけたい想いに囚われる。
が、口を開こうとする前に、泉水の意識は途切れた。まるで暗くて深い底なしの穴に落ちてゆくように、泉水の意識は闇に呑み込まれた。くずおれる泉水のか細い身体を咄嗟に抱き止めてくれた人は、そも誰なのか―。
そう思った刹那、くらりと視界が揺れた。泉水は軽い眩暈(めまい)を憶え、よろめいた。美しい、不思議な僧がゆっくりと近づいてくる。
―祐次郎さま、やはり、生きていらっしゃったのですね?
思わず問いかけたい想いに囚われる。
が、口を開こうとする前に、泉水の意識は途切れた。まるで暗くて深い底なしの穴に落ちてゆくように、泉水の意識は闇に呑み込まれた。くずおれる泉水のか細い身体を咄嗟に抱き止めてくれた人は、そも誰なのか―。