
胡蝶の夢~私の最愛~⑪【夢路・ゆめじ】
第19章 すれちがい
そんな泉水を泰雅は何を思ったか、再び烈しく突き上げてくる。
泉水の泣き声がふっと止んだ。大きく眼を見開いた泉水の口から、あえかな声が洩れる。その声は次第に大きくなり、やがて泰雅にひときわ烈しく深く刺し貫かれた刹那、悲鳴となった。
そのまま泉水の身体は急速に力を失ってゆく。まるで花がしおれるようにくずおれた泉水の身体を泰雅が咄嗟に支えた。意識を手放した泉水を泰雅は愛おしげに抱え上げ、そっと褥に横たえる。
「可愛い奴だ、泉水―」
泉水の唇に口づけを落とすと、泰雅もまた、俄に深い疲労感を憶える。我ながら、あまりにも烈しい情交を重ねすぎたせいだろう。
しかし、今宵はいつになく満ち足りた気分になれた。幾度閨を共にし膚を合わせても、泉水は頑なであった。身体は完全に成熟した女性のものであるのに、どこかその控えめな反応には、まだ未成熟な少女のような恥じらいが残っていた。
泰雅としては、その肉体と精神の相違もまた、そそられる大きな因ではあったのだが、それでも今宵、漸く泉水の身体も心も女として花開いたと実感できた。その一人の女の女体を成熟させたという歓びは男としては得がたいものであると共に、またとない悦楽でもある。
泰雅は泉水の裸の肩に手を回すと、自らも眼を瞑った。
泉水の泣き声がふっと止んだ。大きく眼を見開いた泉水の口から、あえかな声が洩れる。その声は次第に大きくなり、やがて泰雅にひときわ烈しく深く刺し貫かれた刹那、悲鳴となった。
そのまま泉水の身体は急速に力を失ってゆく。まるで花がしおれるようにくずおれた泉水の身体を泰雅が咄嗟に支えた。意識を手放した泉水を泰雅は愛おしげに抱え上げ、そっと褥に横たえる。
「可愛い奴だ、泉水―」
泉水の唇に口づけを落とすと、泰雅もまた、俄に深い疲労感を憶える。我ながら、あまりにも烈しい情交を重ねすぎたせいだろう。
しかし、今宵はいつになく満ち足りた気分になれた。幾度閨を共にし膚を合わせても、泉水は頑なであった。身体は完全に成熟した女性のものであるのに、どこかその控えめな反応には、まだ未成熟な少女のような恥じらいが残っていた。
泰雅としては、その肉体と精神の相違もまた、そそられる大きな因ではあったのだが、それでも今宵、漸く泉水の身体も心も女として花開いたと実感できた。その一人の女の女体を成熟させたという歓びは男としては得がたいものであると共に、またとない悦楽でもある。
泰雅は泉水の裸の肩に手を回すと、自らも眼を瞑った。
