
胡蝶の夢~私の最愛~⑪【夢路・ゆめじ】
第24章 再会
もし、夢五郎に止められなければ、自分は今頃、どうなっていたか知れたものではない。冷たい水底(みなそこ)に沈み、二度と浮かび上がることはなく、腹の子も共に死んでいただろう。
そう考えると、我知らず戦慄が走った。今更かもしれないが、死ななくて良かった―と、安堵の想いがどっと押し寄せてくる。確かに、夢五郎は夢売り―人に夢と希望を与えるのが得意な男なのかもしれない。
夢五郎がもう一度空を仰ぐ。
一枚の大きな布をひろげたような漆黒の空に、降るような星が煌めいている。月照庵。確かに山の上のこの庵には、この名前こそふさわしい。煌々と輝く円い月を泉水も夢五郎の傍で眺めていた。
そう考えると、我知らず戦慄が走った。今更かもしれないが、死ななくて良かった―と、安堵の想いがどっと押し寄せてくる。確かに、夢五郎は夢売り―人に夢と希望を与えるのが得意な男なのかもしれない。
夢五郎がもう一度空を仰ぐ。
一枚の大きな布をひろげたような漆黒の空に、降るような星が煌めいている。月照庵。確かに山の上のこの庵には、この名前こそふさわしい。煌々と輝く円い月を泉水も夢五郎の傍で眺めていた。
