天空(そら)に咲く花~あのひとに届くまで~
第8章 哀しい別離
「それでなくとも、今日の暑さは尋常じゃアなかったよ。汗をかいたんだから、えびす湯にでも行って、きれいさっぱり洗い流してくるとしようじゃないか、え」
「お師匠さん、あの凌霄花って綺麗ですよね」
突然言い出した八重の横顔をちらりと見、おさんは眼をパチパチさせた。
「あ、ああ」
打つともなしに相槌を打ってよこす。
「でも、私は、あの花が嫌いです」
八重がはっきりと断ずると、おさんは眼を瞠った。
「へえ、そいつは初耳だねえ。一体全体、どうしてなのさ」
「何だか男のひとにまとわりつく女みたいに見えて仕様がないんです。くねくねと身体をくねらせて、男に縋りついていっているような」
「ふうん、そんなものかねぇ」
おさんは首をひねった。
「お師匠さん、あの凌霄花って綺麗ですよね」
突然言い出した八重の横顔をちらりと見、おさんは眼をパチパチさせた。
「あ、ああ」
打つともなしに相槌を打ってよこす。
「でも、私は、あの花が嫌いです」
八重がはっきりと断ずると、おさんは眼を瞠った。
「へえ、そいつは初耳だねえ。一体全体、どうしてなのさ」
「何だか男のひとにまとわりつく女みたいに見えて仕様がないんです。くねくねと身体をくねらせて、男に縋りついていっているような」
「ふうん、そんなものかねぇ」
おさんは首をひねった。