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天空(そら)に咲く花~あのひとに届くまで~

第10章 第四話〝空華(くうげ)〟・すれ違い

 我が乳を与えて育てたお乳人と養い君の関係が親子にも勝るものなのは当然だとは理性では理解できても、やはり感情では一抹の疎外感を感じてしまうのは、八重が至らぬ未熟者ゆえだからなのか。
 後は、八重は今度こそ打掛の裾を翻し足早に立ち去ったが、誰が見ても、その姿はどこか上の空で尋常には見えない。
 そんな若き正室の後ろ姿を飛鳥井は考えに耽る顔で見送った。

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