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天空(そら)に咲く花~あのひとに届くまで~

第11章 秘密

 昼間、尚姫のあの絵を眼にすることがなければ、懐妊を歓びもできただろう。だが、見てしまったものは、今になって見なかったことにはできない。忘れようとしても、あの絵はあまりにも印象が鮮やかすぎた。
―どうしよう。
 夜は次第に明けてゆくのに、八重の心は深く深く暗い淵の底へと沈んでゆくようだった。室内は蝋燭が幾つか灯っていたものの、薄暗く、部屋の四隅は闇に溶けてしまっている。
 月が翳ったらしく、部屋は更に暗さを増した。
 八重は魂を奪われたかのように茫然とその場に座り込んで、部屋に凝った薄い闇を見つめていた。

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