天空(そら)に咲く花~あのひとに届くまで~
第12章 真実
八重はつい言ってしまってから、しまったと後悔した。しかし、嘉亨は気を悪くした風もない。小さく頷き。
「そうであろうの。何しろ、ひとめ見たときから、私はお尚に心奪われてしもうて、みっとみなくも、その体たらくよ。幾ら私が追いかけても、お尚はけして手の届かぬ女であった。最初から、あの女の心の内には別の男が棲みついていた。恋とは人をとことん愚かにさせる。私が躍起になってお尚の心を掴もうとすればするほど、お尚の心は私から離れていった。ま、今から思えば、見かけだけは美しいが、内に毒を含んだ徒花のような女であったが、若かった私には、その見かけだけの美しさしか見えなかったのであろう」
最後は、苦笑いして、嘉亨は話をそう括った。
「八重、私は十年経っても、まだ懲りもせず同じことを繰り返そうとしている。八重の心を取り戻そうと無駄なあがきを繰り返せば繰り返すほど、八重、そなたの心は私から離れてゆくような気がしてならぬ」
嘉亨が切なそうなまなざしで八重を見つめた。
その瞬間、八重は泣きながら首を振った。
「私は、いつでもずっと殿をお慕いしております。初めてこの場所で出逢ったそのときから、ずっと」
もう、遅すぎるのだろうか。何を言っても、この男の心に自分の想いは届かないのだろうか。でも、やはり、自分はこの男とずっと一緒にいたい。
八重が絶望的な気分に陥った時、嘉亨が呟くように言った。
「そうであろうの。何しろ、ひとめ見たときから、私はお尚に心奪われてしもうて、みっとみなくも、その体たらくよ。幾ら私が追いかけても、お尚はけして手の届かぬ女であった。最初から、あの女の心の内には別の男が棲みついていた。恋とは人をとことん愚かにさせる。私が躍起になってお尚の心を掴もうとすればするほど、お尚の心は私から離れていった。ま、今から思えば、見かけだけは美しいが、内に毒を含んだ徒花のような女であったが、若かった私には、その見かけだけの美しさしか見えなかったのであろう」
最後は、苦笑いして、嘉亨は話をそう括った。
「八重、私は十年経っても、まだ懲りもせず同じことを繰り返そうとしている。八重の心を取り戻そうと無駄なあがきを繰り返せば繰り返すほど、八重、そなたの心は私から離れてゆくような気がしてならぬ」
嘉亨が切なそうなまなざしで八重を見つめた。
その瞬間、八重は泣きながら首を振った。
「私は、いつでもずっと殿をお慕いしております。初めてこの場所で出逢ったそのときから、ずっと」
もう、遅すぎるのだろうか。何を言っても、この男の心に自分の想いは届かないのだろうか。でも、やはり、自分はこの男とずっと一緒にいたい。
八重が絶望的な気分に陥った時、嘉亨が呟くように言った。