天空(そら)に咲く花~あのひとに届くまで~
第4章 第二話〝茜空〟・友達
八重は万感の想いを込めて、お智を見つめた。
「ありがとう。祝言にも出られなくて、ごめんなさい。幸せになってね。お智ちゃん。お嫁にいっちゃったら、今までのように気軽に逢うことはできなくなるだろうけど」
「なに水臭いこと、言ってるのよ。嫁いだって、どこに行ったって、私たち、友達じゃない? お弥栄ちゃんもまた町に出ることがあったら、遊びにきてよ。もちろん、嫁ぎ先の方にもね」
お智の温かな笑顔に、八重は幾度も頷いた。
「八重、そろそろ帰ろう」
少し先で、清冶郞が叫んでいる。
八重とお智は互いに顔を合わせて笑った。
「じゃあ、元気で」
「お弥栄ちゃんも達者でね」
二人はもう一度視線を合わせ、八重は清冶郞に向かって駆け出した。前方で待っていた清冶郞と二人で歩き出す。傍目にはその光景は主従というよりは、仲睦まじい姉弟にしか見えないだろう。
暮れなずんでゆく夜空の下にひろがる道を細い月が照らし出している。人気のない道は白っぽく浮き上がって見えた。細い道を寄り添い合うようにして去ってゆく二人を、お智はいつまでも見送っていた。
「ありがとう。祝言にも出られなくて、ごめんなさい。幸せになってね。お智ちゃん。お嫁にいっちゃったら、今までのように気軽に逢うことはできなくなるだろうけど」
「なに水臭いこと、言ってるのよ。嫁いだって、どこに行ったって、私たち、友達じゃない? お弥栄ちゃんもまた町に出ることがあったら、遊びにきてよ。もちろん、嫁ぎ先の方にもね」
お智の温かな笑顔に、八重は幾度も頷いた。
「八重、そろそろ帰ろう」
少し先で、清冶郞が叫んでいる。
八重とお智は互いに顔を合わせて笑った。
「じゃあ、元気で」
「お弥栄ちゃんも達者でね」
二人はもう一度視線を合わせ、八重は清冶郞に向かって駆け出した。前方で待っていた清冶郞と二人で歩き出す。傍目にはその光景は主従というよりは、仲睦まじい姉弟にしか見えないだろう。
暮れなずんでゆく夜空の下にひろがる道を細い月が照らし出している。人気のない道は白っぽく浮き上がって見えた。細い道を寄り添い合うようにして去ってゆく二人を、お智はいつまでも見送っていた。