月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第6章 第2話【燕の歌~Swallow song】・新しい町
「さて、それでは、本当のところを訊かせて貰おうじゃないか」
「―本当のところ?」
ジャンインを上目遣いに見た光王の眼に閃光がひらめく。怒りと不審が瞬時に瞳をよぎっていった。
「断っておくが、俺はお前さんの敵でも味方でもない。少なくとも、お前さんを窮地に陥れたりはしないし、裏をかくような卑怯な真似もしないと今、ここで誓える。だから、教えて欲しいんだ、お前さんの見たまま、感じたままを」
ジャンインの言葉には、光王ですら有無を言わせぬ響きがあった。
光王はしばらくジャンインを睨み据えていたかと思うと、プイと視線を逸らした。
「一見、町が活気に満ちているように見えるが、人の表情に生気がない。何か無理をしている―空元気を装っているように見える。何より、物価が異常に高いな。特に米の値段が信じられないほどつり上がっている。これでは、それでなくとも貧しい民は余計に米などにはありつけないのではないか」
訥々と語った光王を見つめるジャンインの眼は、それまでとは別人のように厳しい。
そのまなざしの鋭さは、傍らの香花を怯えさせるに十分であった。
「流石だ。他所からここに来て、わずかな期間でそれだけのことを見抜くとはな」
ジャンインは我が意を得たりとばかりに頷き、光王の肩を親しげに叩いた。
「―本当のところ?」
ジャンインを上目遣いに見た光王の眼に閃光がひらめく。怒りと不審が瞬時に瞳をよぎっていった。
「断っておくが、俺はお前さんの敵でも味方でもない。少なくとも、お前さんを窮地に陥れたりはしないし、裏をかくような卑怯な真似もしないと今、ここで誓える。だから、教えて欲しいんだ、お前さんの見たまま、感じたままを」
ジャンインの言葉には、光王ですら有無を言わせぬ響きがあった。
光王はしばらくジャンインを睨み据えていたかと思うと、プイと視線を逸らした。
「一見、町が活気に満ちているように見えるが、人の表情に生気がない。何か無理をしている―空元気を装っているように見える。何より、物価が異常に高いな。特に米の値段が信じられないほどつり上がっている。これでは、それでなくとも貧しい民は余計に米などにはありつけないのではないか」
訥々と語った光王を見つめるジャンインの眼は、それまでとは別人のように厳しい。
そのまなざしの鋭さは、傍らの香花を怯えさせるに十分であった。
「流石だ。他所からここに来て、わずかな期間でそれだけのことを見抜くとはな」
ジャンインは我が意を得たりとばかりに頷き、光王の肩を親しげに叩いた。