月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第6章 第2話【燕の歌~Swallow song】・新しい町
「何だか、あの若造、えらく不機嫌な顔していっちまったが、ジャンイン、何かあったのか?」
問われ、ジャンインは破顔した。
「近頃の若い者ときたら、ろくに礼儀も知らねえ。年上の者に対しての口のきき方も知らないときてる。俺があいつの女房に向かって、良い女を連れてるなと言ってやっただけで、いきなり怒り出しちまってよ」
「妬いてるのさ。凄え焼きもち焼きの亭主じゃねえのか」
「だけどよ、若えのも相当の男前だったぜ」
「だな、ここいらの田舎町で、あれほど男っぷりの良いのは滅多といねえ」
「あいつらは都から来たようだぜ」
ジャンインの言葉に、既に相当出来上がっている男が紅い顔で頷く。
「漢陽はやっぱり都だな。あんな上男がいるのかねえ。だが、少々男ぶりが良いのを鼻に掛けたあの態度は頂けない」
「全くだ、余所者の癖に、でかい顔しやがって、胸くその悪い」
男たちは皆、ジャンインの意見に大いに賛成のようだ。
「まぁ、所詮は俺らの倅のような年頃だ。誰にでもあんな風に突っ張りたいときがあるものさ」
ジャンインが明るい口調で言うと、他の男たちも互いに頷き合う。
「まっ、そいつはそうだな。ほれ、進(ジヤン)実(シル)、お前のところの息子も丁度、さっきの若造のようにつっけんどんだろ、幼いときには、俺があんだけ可愛がって、〝おじちゃん、おじちゃん〟って懐いてたのによう。近頃、ちっともかわいげがねえじゃないか」
「済まねえな。お前は息子がいねえで、娘ばっかりだから、あいつのことを本当に可愛がってくれたのに」
問われ、ジャンインは破顔した。
「近頃の若い者ときたら、ろくに礼儀も知らねえ。年上の者に対しての口のきき方も知らないときてる。俺があいつの女房に向かって、良い女を連れてるなと言ってやっただけで、いきなり怒り出しちまってよ」
「妬いてるのさ。凄え焼きもち焼きの亭主じゃねえのか」
「だけどよ、若えのも相当の男前だったぜ」
「だな、ここいらの田舎町で、あれほど男っぷりの良いのは滅多といねえ」
「あいつらは都から来たようだぜ」
ジャンインの言葉に、既に相当出来上がっている男が紅い顔で頷く。
「漢陽はやっぱり都だな。あんな上男がいるのかねえ。だが、少々男ぶりが良いのを鼻に掛けたあの態度は頂けない」
「全くだ、余所者の癖に、でかい顔しやがって、胸くその悪い」
男たちは皆、ジャンインの意見に大いに賛成のようだ。
「まぁ、所詮は俺らの倅のような年頃だ。誰にでもあんな風に突っ張りたいときがあるものさ」
ジャンインが明るい口調で言うと、他の男たちも互いに頷き合う。
「まっ、そいつはそうだな。ほれ、進(ジヤン)実(シル)、お前のところの息子も丁度、さっきの若造のようにつっけんどんだろ、幼いときには、俺があんだけ可愛がって、〝おじちゃん、おじちゃん〟って懐いてたのによう。近頃、ちっともかわいげがねえじゃないか」
「済まねえな。お前は息子がいねえで、娘ばっかりだから、あいつのことを本当に可愛がってくれたのに」