
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第7章 春の宵
「それは、どういう意味だ」
光王の声がいっそう低くなった。
「あなたは両班の奥方から誘われれば、寝たって、女将さんは言ってたわ」
「つまり、お前は、俺が自分の身体を売っていたと、そう言うんだな。俺を自分の身体を切り売りする男娼だと」
「―」
香花が何も言えず、うつむくと、光王がフッと自嘲的に笑う。
「お前はさっきから、寝る寝ると何度も口にしていたが、本当に寝るというのがどういうことなのか、何を意味するのか、判って言っているとでもいうのか? え、世間知らずのお嬢さん」
ふいに光王の腕が伸び、香花の細い手首を掴む。
「良い機会だから、教えてやろうじゃないか。男と女が寝るというのは、どういうことなのか」
「止めて、光王」
香花が悲鳴のような声を上げる。
「お前が悪い。俺を挑発するようなことばかり言うからだ。俺が毎日、どれほど自分を抑え込んでいるかも知らずに、愚かにも誘いをかけてくるからだ。ああ、そうだよ、お前の言うとおりだ。俺は両班の奥方とだって、金持ちの商人の女房とだって、金を積まれれば、誰とでも寝るよ」
「じゃあ、私の今の仕事もそうなの? 町で金を積まれて頼まれて寝たついでに、両班の奥方から仕立物の内職を貰ってくるの」
「何だと? もう一度言ってみろ」
光王の声がいっそう低くなった。
「あなたは両班の奥方から誘われれば、寝たって、女将さんは言ってたわ」
「つまり、お前は、俺が自分の身体を売っていたと、そう言うんだな。俺を自分の身体を切り売りする男娼だと」
「―」
香花が何も言えず、うつむくと、光王がフッと自嘲的に笑う。
「お前はさっきから、寝る寝ると何度も口にしていたが、本当に寝るというのがどういうことなのか、何を意味するのか、判って言っているとでもいうのか? え、世間知らずのお嬢さん」
ふいに光王の腕が伸び、香花の細い手首を掴む。
「良い機会だから、教えてやろうじゃないか。男と女が寝るというのは、どういうことなのか」
「止めて、光王」
香花が悲鳴のような声を上げる。
「お前が悪い。俺を挑発するようなことばかり言うからだ。俺が毎日、どれほど自分を抑え込んでいるかも知らずに、愚かにも誘いをかけてくるからだ。ああ、そうだよ、お前の言うとおりだ。俺は両班の奥方とだって、金持ちの商人の女房とだって、金を積まれれば、誰とでも寝るよ」
「じゃあ、私の今の仕事もそうなの? 町で金を積まれて頼まれて寝たついでに、両班の奥方から仕立物の内職を貰ってくるの」
「何だと? もう一度言ってみろ」
