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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第9章 燕の歌

 光王が身に纏っているのは、浅葱色のパジチョゴリだ。香花が光王の誕生祝いに縫い上げたものである。
―両班でもあるまいに、こんな立派な服なんて俺には似合わねえよ。
 そう言ってしきりに照れていた光王だが、髪も結い上げ、鍔広の帽子を目深に被ってすっきりと着こなした姿には優美さと気品も漂っていて、都から来た両班といっても、十分通るだろう。
 新しい土地に漸く馴染んできた二人、別にどちらが謝ったわけではないのに、いつしか元どおり軽口を叩き合えるようになっていた―。
 こうして、監察御使は花吹雪の舞う中、賑やかに都へと帰っていった。
 外は四月、薄紅色の桜が満開の華やかな季節である。


(第二話 燕の歌 おわり・

 明日から第三話へ)

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