
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第10章 第三話【名もなき花】・少年の悲哀
当時、朝鮮中の民が〝闇の王〟と呼ばれた狂王陽徳(ヤントク)山(サン)君(グン)(後にクーデターにより退位させられた)の暴政に震撼とし、国王への怨嗟の声はひきもきらない有様であった。そんな中で義賊の中の義賊と謳われた光王こそが我等―民の支持する真の王だと訴える抗議文が都中に出回り、以後、〝義賊光王〟への政府からの追及は更に厳しいものとなったこともあるほどだ。
香花はそんな光王とは漢(ハ)陽(ニヤン)で知り合った。香花の宿命の想い人―かつて王の承旨(スンジ)を務めていた崔(チェ)明善(ミヨンソン)が拘わった国王完(クワン)宗(ジヨン)への謀反事件を通して出逢い、明善が非業の死を遂げた後、二人は都を離れたこの地方の村に移り住んだ。
ちなみに、朝鮮王朝史上、最大の暴君とされる陽徳山君が強制的に廃位された後、完宗が位についたという経緯がある。
現在、光王と香花は村外れの仕舞屋で兄妹という触れ込みで暮らしている。幸いにも、小さな鄙びた農村の人々は情に厚く、いわくありげな他所(よそ)者に対しても寛容だ。余計な詮索をされずに済むのはありがたかった。
香花はそんな光王とは漢(ハ)陽(ニヤン)で知り合った。香花の宿命の想い人―かつて王の承旨(スンジ)を務めていた崔(チェ)明善(ミヨンソン)が拘わった国王完(クワン)宗(ジヨン)への謀反事件を通して出逢い、明善が非業の死を遂げた後、二人は都を離れたこの地方の村に移り住んだ。
ちなみに、朝鮮王朝史上、最大の暴君とされる陽徳山君が強制的に廃位された後、完宗が位についたという経緯がある。
現在、光王と香花は村外れの仕舞屋で兄妹という触れ込みで暮らしている。幸いにも、小さな鄙びた農村の人々は情に厚く、いわくありげな他所(よそ)者に対しても寛容だ。余計な詮索をされずに済むのはありがたかった。
