
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第10章 第三話【名もなき花】・少年の悲哀
どうやら、昌福は両班の屋敷にゆくのを厭がっているようだ。親方が昌福に諄々と言い聞かせている。その傍らで、兄の景福が親方に突っかかっていた。
「サヒョン、悪いが、何度言っても、昌福は行かせられない」
「あたしが倅の代わりに旦那さまのお相手をさせて頂こうじゃないか。親方」
景福の身体を押しやるようにして、背後からあの美女―恵京が申し出た。やはり、この女人は景福・昌福兄弟の母親のようである。
サヒョン親方が恵京に耳打ちした。
「俺だって、何も好きであの助平両班の許に昌福を行かせたいわけじゃねえや。恵京、お前の親心は判らんわけじゃねえが、生憎とあの旦那は大人には興味がないらしい。両刀遣いではあるらしいが、とにかくまだ開かない蕾のような年頃が良いんだと。全く、どういう趣味をしてるんだか、気持ちの悪い野郎だぜ」
「サヒョン、悪いが、何度言っても、昌福は行かせられない」
「あたしが倅の代わりに旦那さまのお相手をさせて頂こうじゃないか。親方」
景福の身体を押しやるようにして、背後からあの美女―恵京が申し出た。やはり、この女人は景福・昌福兄弟の母親のようである。
サヒョン親方が恵京に耳打ちした。
「俺だって、何も好きであの助平両班の許に昌福を行かせたいわけじゃねえや。恵京、お前の親心は判らんわけじゃねえが、生憎とあの旦那は大人には興味がないらしい。両刀遣いではあるらしいが、とにかくまだ開かない蕾のような年頃が良いんだと。全く、どういう趣味をしてるんだか、気持ちの悪い野郎だぜ」
