月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第10章 第三話【名もなき花】・少年の悲哀
好きな女の子の前では恋心を出せず、喧嘩ぱかりしてしまう。これでは、まるで香花と同じ年どころか、年下の少年のようではないかと自分でも呆れて物が言えない。
多分、香花は光王の想いなど露ほども知りはしない。
そう考えると、もどかしいような気もするが、今はまだ良い。香花がやがて自ら光王の想いに気付き、自然に受け容れてくれるようになるまでは、今のまま〝お兄ちゃん〟でも構いはしない。顔を見れば、喧嘩ばかりして、でも、誰よりも互いを必要としている二人。香花の傍に居て、いつもあの眩しい笑顔を見ていられるなら、今はそれで十分だ。
光王は、そんなことを考えながら、すっかり遠くなってしまった香花の後ろ姿を見つめた。
多分、香花は光王の想いなど露ほども知りはしない。
そう考えると、もどかしいような気もするが、今はまだ良い。香花がやがて自ら光王の想いに気付き、自然に受け容れてくれるようになるまでは、今のまま〝お兄ちゃん〟でも構いはしない。顔を見れば、喧嘩ばかりして、でも、誰よりも互いを必要としている二人。香花の傍に居て、いつもあの眩しい笑顔を見ていられるなら、今はそれで十分だ。
光王は、そんなことを考えながら、すっかり遠くなってしまった香花の後ろ姿を見つめた。