
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第11章 謎の女
拳を握りしめる景福をやるせない想いで見つめた時、少し離れた前方から〝景福、景福〟と呼び声が聞こえた。
景福がハッと振り返る。
香花もつられるようにそちらを見ると、一人の若い女人がまろぶように走ってくる。
「美(ミ)力(リヨン)」
景福が愕きに眼を見開く。
ミリョンと呼ばれた女性は二十歳くらいだろうか。美人というタイプではないけれど、優しげな面立ちの感じの良い女性だ。
「急にいなくなるんで、心配するじゃない。昼間、昌福のことであんなことがあったばかりだし、景福が思いつめて何かしでかしたんじゃないかって、恵京は凄く心配してるわよ? お母さんをあまり心配させては駄目」
ミリョンの言葉に、景福は悄然とうなだれた。
「ごめん(ミヤナオ)。大丈夫(ケンチヤナヨ)、僕だって、もう大人だ。幾らあの両班が殺してやりたいくらい憎らしいからって、本当に殺したりはしないよ。とにかく昌福は香花のお陰で無事だったんだし」
「香花?」
景福がハッと振り返る。
香花もつられるようにそちらを見ると、一人の若い女人がまろぶように走ってくる。
「美(ミ)力(リヨン)」
景福が愕きに眼を見開く。
ミリョンと呼ばれた女性は二十歳くらいだろうか。美人というタイプではないけれど、優しげな面立ちの感じの良い女性だ。
「急にいなくなるんで、心配するじゃない。昼間、昌福のことであんなことがあったばかりだし、景福が思いつめて何かしでかしたんじゃないかって、恵京は凄く心配してるわよ? お母さんをあまり心配させては駄目」
ミリョンの言葉に、景福は悄然とうなだれた。
「ごめん(ミヤナオ)。大丈夫(ケンチヤナヨ)、僕だって、もう大人だ。幾らあの両班が殺してやりたいくらい憎らしいからって、本当に殺したりはしないよ。とにかく昌福は香花のお陰で無事だったんだし」
「香花?」
