
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第11章 謎の女
永遠に続くかと思われる沈黙の後、光王が漸く口を開いた。
「俺のことは放っておいてくれ。余計な詮索はするな」
その言葉に、香花はムッとした。
「そんな言い方って、ないでしょ。私は心配してるだけなのに」
「誰がお前に心配してくれと頼んだ」
まるで突き放すかのような素っ気ない口調は、香花の存在そのものを拒絶されたようだ。
ややあって、光王がやや皮肉げに口許を歪めた。
「そういうお前の方こそ、どうなんだ? 良い加減に過去の想い出にしがみつくのは止めたら、どうなんだ」
「それは、どういうこと?」
聞き捨てならないと気色ばんだ香花に、光王は皮肉げな口調も表情もそのままに応えた。
「言葉どおりさ」
「言葉どおり―、もしかして、明善さまのことを言っているの?」
〝どうだかな〟と、馬鹿にするように言う。
「俺のことは放っておいてくれ。余計な詮索はするな」
その言葉に、香花はムッとした。
「そんな言い方って、ないでしょ。私は心配してるだけなのに」
「誰がお前に心配してくれと頼んだ」
まるで突き放すかのような素っ気ない口調は、香花の存在そのものを拒絶されたようだ。
ややあって、光王がやや皮肉げに口許を歪めた。
「そういうお前の方こそ、どうなんだ? 良い加減に過去の想い出にしがみつくのは止めたら、どうなんだ」
「それは、どういうこと?」
聞き捨てならないと気色ばんだ香花に、光王は皮肉げな口調も表情もそのままに応えた。
「言葉どおりさ」
「言葉どおり―、もしかして、明善さまのことを言っているの?」
〝どうだかな〟と、馬鹿にするように言う。
