月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第12章 半月
半月
灯りを点さず窓を開け、月の光を受けながら寝仕度をして夜具に横たわる。今の季節は窓を開けていても、心地良い風が入ってくるので、膚寒くはない。こうして窓を開けて眠るのが香花は好きだった。―光王には物騒だとよく怒られたが。
しかし、いつもなら、すぐ眠りにつけるのに、今日はなかなか眠れない。最初は夜具の中で幾度も寝返りを打っていたが、香花は寝付けぬままに諦めて、床から出た。
開け放した窓の向こうに星をちりばめた夜空が見渡せる。今宵は半月だった。
光王と喧嘩した夜は三日月だったから、あの細い月が真半分になるだけの日数が経ったことになる。
あれから二人の仲は一見、元どおりになったようにも思えるが、現実としては、残念ながら、あくまでも見かけだけのことだ。確かに以前のように話はするけれど、どちらもが一歩退いていて、微妙な距離がその間にある。
その距離は即ち、香花と光王との心の距離でもあるだろう。あれから光王は町の妓房に出かけた様子はないけれど、むろん、香花が知る限りにおいて、だ。
灯りを点さず窓を開け、月の光を受けながら寝仕度をして夜具に横たわる。今の季節は窓を開けていても、心地良い風が入ってくるので、膚寒くはない。こうして窓を開けて眠るのが香花は好きだった。―光王には物騒だとよく怒られたが。
しかし、いつもなら、すぐ眠りにつけるのに、今日はなかなか眠れない。最初は夜具の中で幾度も寝返りを打っていたが、香花は寝付けぬままに諦めて、床から出た。
開け放した窓の向こうに星をちりばめた夜空が見渡せる。今宵は半月だった。
光王と喧嘩した夜は三日月だったから、あの細い月が真半分になるだけの日数が経ったことになる。
あれから二人の仲は一見、元どおりになったようにも思えるが、現実としては、残念ながら、あくまでも見かけだけのことだ。確かに以前のように話はするけれど、どちらもが一歩退いていて、微妙な距離がその間にある。
その距離は即ち、香花と光王との心の距離でもあるだろう。あれから光王は町の妓房に出かけた様子はないけれど、むろん、香花が知る限りにおいて、だ。