月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第12章 半月
「あの女のひとが忘れられないの?」
光王の心に今、棲まうのが誰なのか。香花は知らない。彼が昔、愛したという女に似ているミリョンなのか。それとも、新たに妓房で知り合った妓生なのか。
「まさか。突然、何を言い出すんだ」
光王が呆れたように鼻を鳴らした。
香花は淋しげな微笑を浮かべた。
いつもなら、すぐにここで言い返してくるはずなのに、黙り込んでしまった香花を光王も訝しく思ったようだ。
「お前、妬いてるのか?」
覗き込んでくるのに、香花は慌てて顔を背けた。
「違うに決まってるじゃない。何で私が焼きもちなんか焼かなくちゃならないの」
いつもどおり揶揄する光王に言い返す。心の中では、できるだけ自然に見えるように祈りながら、わざとふくれっ面を拵えた。
でも、頬が熱い。この分では、かなり紅くなっているに違いない。
「そうだな、お前が嫉妬なんかするはずがない。まだ子どもだ」
香花は、ますます顔を上気させた。
「失礼ね、いつもそうやって私を子ども扱いして。私だって、もう十五よ。立派な一人前の女ですから」
光王の心に今、棲まうのが誰なのか。香花は知らない。彼が昔、愛したという女に似ているミリョンなのか。それとも、新たに妓房で知り合った妓生なのか。
「まさか。突然、何を言い出すんだ」
光王が呆れたように鼻を鳴らした。
香花は淋しげな微笑を浮かべた。
いつもなら、すぐにここで言い返してくるはずなのに、黙り込んでしまった香花を光王も訝しく思ったようだ。
「お前、妬いてるのか?」
覗き込んでくるのに、香花は慌てて顔を背けた。
「違うに決まってるじゃない。何で私が焼きもちなんか焼かなくちゃならないの」
いつもどおり揶揄する光王に言い返す。心の中では、できるだけ自然に見えるように祈りながら、わざとふくれっ面を拵えた。
でも、頬が熱い。この分では、かなり紅くなっているに違いない。
「そうだな、お前が嫉妬なんかするはずがない。まだ子どもだ」
香花は、ますます顔を上気させた。
「失礼ね、いつもそうやって私を子ども扱いして。私だって、もう十五よ。立派な一人前の女ですから」