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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第12章 半月

 唇がひとたびは離れ、香花が胸を撫で下ろしていると、かすかな笑みを浮かべて、光王が香花の唇にもう一度、唇を押し当ててきた。
 極上の笑みは、この世のものとも思われぬほど艶めかしく優美だ。こんなときでさえ、思わず見蕩れてしまいそうになる。
 唇は離れたかと思えば、またすぐに重なる。角度を変えた口づけは執拗に続き、香花は小さく喘いだ。
―苦しい。
 涙眼になった香花は懸命に小さな両手で光王の身体を押す。
 だが、所詮、彼女の力で適うはずもない。

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