月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第12章 半月
―光王には忘れられない女がいるんだよ。その女じゃなければ駄目なのさ。
―お前は昔、俺が惚れた女に似てるんだ。
かつて漢陽の酒場の女将が、光王が囁いた言葉が耳奥でこだまする。
「止めて!」
香花は渾身の力で光王の屈強な身体を押し戻した。
「好きでもないのに、何とも思っていないのに、どうして平気でこんなことができるの? 私は、あなたがこれまで拘わってきた大勢の女の人とは違うのよ。あなたは好きでもない女と寝るのに心は要らないって言うけれど、私は、どうしてもそんな考え方はできないの。遊びやからかいで、こんなことをするのなら、お願いだからもう止めて、これからは私に触れないで」
言っている中に、涙が溢れた。
「俺が何故、妓房に上がりながら、妓生を抱かなかった―、香花はその理由が判るか?」
しばらく香花をじっと見つめていた光王が突如として口を開いた。その静まり返った瞳からは何の感情も窺えない。
香花は涙ぐんで光王を見つめた。
―お前は昔、俺が惚れた女に似てるんだ。
かつて漢陽の酒場の女将が、光王が囁いた言葉が耳奥でこだまする。
「止めて!」
香花は渾身の力で光王の屈強な身体を押し戻した。
「好きでもないのに、何とも思っていないのに、どうして平気でこんなことができるの? 私は、あなたがこれまで拘わってきた大勢の女の人とは違うのよ。あなたは好きでもない女と寝るのに心は要らないって言うけれど、私は、どうしてもそんな考え方はできないの。遊びやからかいで、こんなことをするのなら、お願いだからもう止めて、これからは私に触れないで」
言っている中に、涙が溢れた。
「俺が何故、妓房に上がりながら、妓生を抱かなかった―、香花はその理由が判るか?」
しばらく香花をじっと見つめていた光王が突如として口を開いた。その静まり返った瞳からは何の感情も窺えない。
香花は涙ぐんで光王を見つめた。