月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第12章 半月
香花もまた大きく息を吸い込む。
光王が一世一代の告白をしたというのなら、自分もまた同じことをするまでだ。
「あなたを嫌いなはずがないじゃない」
そして、照れたように頬を染めて付け加える。
「いつも喧嘩ばかりしてるけど、それでも、あなたのことがいちばん好き」
いささか自分でも子どもっぽい言葉で、こんなときに、もっと気の利いた場にふさわしい科白が出てくれば良いのにと思うが、致し方ない。女ながら学問にいそしんでいた香花は詩を詠めと言われれば、難なく思いつくが、恋の告白なんて習ったこともないのだ。
「そう、か」
光王が嬉しそうに顔をほころばせる。
こんな晴れやかに笑う彼を見るのは初めてだ。何だか香花まで嬉しくなり微笑むと、光王が香花の髪を撫でた。
「なら、これからは〝お兄ちゃん(オラボニ)〟はナシだぞ?」
口ではそう言うけれど、髪を撫でる光王の仕種は惚れた女に対するというよりは、まるで妹に接しているかのようだ。
光王が一世一代の告白をしたというのなら、自分もまた同じことをするまでだ。
「あなたを嫌いなはずがないじゃない」
そして、照れたように頬を染めて付け加える。
「いつも喧嘩ばかりしてるけど、それでも、あなたのことがいちばん好き」
いささか自分でも子どもっぽい言葉で、こんなときに、もっと気の利いた場にふさわしい科白が出てくれば良いのにと思うが、致し方ない。女ながら学問にいそしんでいた香花は詩を詠めと言われれば、難なく思いつくが、恋の告白なんて習ったこともないのだ。
「そう、か」
光王が嬉しそうに顔をほころばせる。
こんな晴れやかに笑う彼を見るのは初めてだ。何だか香花まで嬉しくなり微笑むと、光王が香花の髪を撫でた。
「なら、これからは〝お兄ちゃん(オラボニ)〟はナシだぞ?」
口ではそう言うけれど、髪を撫でる光王の仕種は惚れた女に対するというよりは、まるで妹に接しているかのようだ。