月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第12章 半月
光王と両想いだと判ってからの何日間は、香花にとって実に幸せなものとなった。朝、町に出かける光王を見送り、家中の掃除、洗濯を済ませ、仕立物の内職に励む。仕上がった仕立物は光王が十日に一度、まとめて町まで運び、服屋に納品し、その駄賃を持ち帰ってくれるのだ。
夕刻、一日の仕事を終えた光王が戻ってくるまでに光王の好物を手作りし、戻ってきた彼とささやかな夕餉の膳を囲む。
それは、あたかも新婚まもない若夫婦の暮らしそのものであった。その日も香花は光王の好物のチゲを拵えて待っていた。
明善を喪って以来、二度と得ることはないと諦めていた好きな男との暮らしが思いがけず実現することになったのだ。
時々、あまりに幸せ過ぎて、怖くなることがあった。こんなに幸せで良いのかと不安になるのだ。
光王は以前のように時折、香花をからかったりもするけれど、随分と優しくなった。そして、時折、香花でさえハッとするほど色っぽい笑みを浮かべて意味ありげに見つめてくる。その度に、香花は真っ赤になって、あらぬ方を向き、そんな光王を見て見ないふりをするのだった。
夕刻、一日の仕事を終えた光王が戻ってくるまでに光王の好物を手作りし、戻ってきた彼とささやかな夕餉の膳を囲む。
それは、あたかも新婚まもない若夫婦の暮らしそのものであった。その日も香花は光王の好物のチゲを拵えて待っていた。
明善を喪って以来、二度と得ることはないと諦めていた好きな男との暮らしが思いがけず実現することになったのだ。
時々、あまりに幸せ過ぎて、怖くなることがあった。こんなに幸せで良いのかと不安になるのだ。
光王は以前のように時折、香花をからかったりもするけれど、随分と優しくなった。そして、時折、香花でさえハッとするほど色っぽい笑みを浮かべて意味ありげに見つめてくる。その度に、香花は真っ赤になって、あらぬ方を向き、そんな光王を見て見ないふりをするのだった。